2023年施行の建設業法改正、知っておくべきポイントは?
こんにちは、建設業界に関心のある皆さん。今回は、2023年に施行される建設業法の改正についてお話ししたいと思います。
建設業法とは、建設業を営む者の資質や建設工事の請負契約に関するルールを定めた法律です。この法律は、2020年と2023年に大きく改正されました。特に2023年の改正では、近年の工事費の上昇や人材不足に対応するために、金額要件や配置技術者の基準が見直されました。
この記事では、2023年施行の建設業法改正の目的とポイントをわかりやすく解説します。建設業界で働く方やこれから働こうと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
建設業法改正の目的
建設業界では、限りある人材の有効活用を図りつつ、将来にわたり長期的な担い手の確保や育成を図ることが大切になっています。そんな建設業法が改正される主な目的は以下の3つです。
- 働き方改革の促進
- 建設現場の生産性向上
- 持続可能な事業環境の確保
働き方改革の促進
建設業界では、長時間労働と人材不足が問題とされてきました。厚生労働省の調査によると、建設業の総実労働時間は164.7時間と全産業平均よりも30時間以上多い結果になりました。
このような長時間労働や過酷な労働環境を改善するために、「工期の適正化」や「社会保険加入の義務化で待遇改善する」などの改正が行われました。
建設現場の生産性向上
建設現場では常に人材不足のため、少ない人出でも効率的に作業し、生産性を向上させるよう取り組んでいます。新技術の導入を試みる中小企業を応援するなどの支援も始まっています。
「配置技術者の専任基準の緩和」や「施工の効率化促進のための環境整備」を行うよう改正し、生産性向上を図っています。
持続可能な事業環境の確保
持続可能な事業環境の確保も重要視されています。現在、建設業に従事する20代の人が少なく、将来的に人手不足が加速すると予想されています。
そのため、「後継者育成」や「事業承継を円滑化する」等の目的で建設業法は改正されています。
2023年施行の建設業法改正のポイント
2023年より改正されたのは以下の3点です。これらの内容に関してわかりやすく解説します。
- 特定建設業許可が必要な工事の範囲拡充
- 配置技術者の専任基準の緩和
- 特定専門工事の下請代金額の上限拡大
特定建設業許可が必要な工事の範囲拡充
まずは、特定建設業の許可が必要な工事範囲の拡充です。そもそも、発注者から直接建設工事を請けた際、下請人に施工させる額の合計額が4,000万円以上の大きな工事は特定建設業許可が必要でした。
しかし、改正後は、下請契約の代金が4,000万円から4,500万円に変更されます。この変更によって、特定建設業許可を持っていない建設業者も下請け企業へ4,000万円以上の施工依頼を行うような規模の多い工事が可能になりました。
また建築工事業である場合は、6,000万円から7,000万円に引き上げられています。この改正によってより多くの企業が規模の大きな建設作業や各種工事を行なえるようになり、仕事の幅が広がるでしょう。
配置技術者の専任基準の緩和
建設業法には建設業許可業者は、請け負う現場に主任技術者や監理技術者を配置しなければならないと定められています。加えて、主任技術者や監理技術者は請負金額3,500万円以上の工事の場合、その現場の専任でなければならないと定められています。つまり、他の現場を掛け持ちしてはいけませんでした。
今回の改正で、この基準となる請負金額が3,500万円から4,000万円に引き上げられました。建築一式の場合は7,000万円から8,000万円に変更されます。これにより、配置技術者が現場を兼務できる工事の範囲が広がり、専任基準が緩やかになりました。
特定専門工事の下請代金額の上限拡大
特定専門工事とは、土木一式工事または建築一式工事以外の建設工事のことで、かつ元請が締結した下請契約の請負代金総額が4,000万円以上の工事のことを指します。しかし、改正後は4,000万円以上ではなく4,500万円以上と変更されます。
特定専門工事は2020年の改正後、主任技術者配置免除の対象になっています。そのため、専任者などの技術者を配置することが負担だった会社にとって、技術者を配置せずにできる仕事の範囲が拡大しました。
まとめ
- 建設業法は、建設業を営む者の資質や建設工事の請負契約に関するルールを定めた法律です。
- 建設業法は、2020年と2023年に大きく改正されました。特に2023年の改正では、金額要件や配置技術者の基準が見直されました。
- 建設業法の改正の目的は、働き方改革の促進、建設現場の生産性向上、持続可能な事業環境の確保です。
- 建設業法に違反すると、罰金や営業停止などの厳しい処分を受ける可能性があります。