専任技術者
専任技術者に関しては、「個人事業主」や「法人の役員」といった役職は求められていませんが、注意が必要な点があります。
一般建設業許可の場合
一番注意が必要なのは実務経験のみで専任技術者となる場合です。
実務経験のみで専任技術者となるには一業種につき10年の経験が必要となります。この経験期間中は他の業種の経験と重複して計算することはできません。
つまり、2業種の専任技術者となる場合は20年の期間が必要ということになります。
継承する建設業の業種が3,4業種またはそれ以上ある場合、実務経験で全ての業種の専任技術者となることは非常に難しくなります。
特に複数の建設業種の許可をお持ちの事業を承継する際は、国家資格を取得することをお勧めします。
国家資格のそれだけで専任技術者となれるものもあります。また国家資格と一定の実務経験が必要なものもあります。
どちらにしても、必要な経験年数を大幅に短縮することができます。
また、必要な業種の専任技術者を雇用することで要件を満たすことも可能です。
特定建設業許可の場合
特定建設業許可の場合では求められる要件は更に厳しくなります。
実務経験で特定建設業許可の専任技術者となる場合、一般建設業許可の要件だけでは足らず、一般建設業の専任技術者となれる要件を有していて、かつ元請として4500万(消費税を含む)以上の工事について2年以上の建設工事の設計、施行の全般にわたって、工事現場監督主任者や現場監督者のような立場で、工事の技術面を総合的に指導監督した経験が必要となります。
特定建設業許可にあっても国家資格の取得をお勧めします。
国家資格に関しても一般建設業許可よりも厳しい要件が求められており、国家資格の1級を取得する必要があります。
また、土木工事業、建築工事業、電気工事工事業、管工事業、鋼構造物工事業、ほ装工事業、造園工事業の7業種に関しては、国家資格の1級を取得するか大臣の認定を受けることでのみ、特定建設業許可の専任技術者となることができます。
専任寺術者を承継するには
専任技術者として経験期間を証明する際、その経験期間中の常勤性が求められます。専任技術者としての要件を満たすためには、経験期間として必要な年数を満たせるよう、しっかりとした雇用関係を結んでおくことが必要となります。
事業の形態によって、必要となる書類は異なりますが一般的にその形態で普通に常用するれば生じる社会保険に関する書類で証明することがほとんどです。
雇用保険適用事業者の場合は雇用保険の加入を証する書類であったり、社会保険適用事業や法人の場合は、健康保険被保険者証の写しが必要となります。
また、雇用保険、社会保険非適用事業者の場合は、国民健康保険被保険者証の資格取得年月日で確認することとなります。
注意!!
専任技術者に関しては、経営業務の管理責任者のように法人での役職は求められていません。しかし、承継させる方が退く事で専任技術者を欠くことになれば許可は取り消しとなります。