奈良 建設業許可主任技術者と監理技術者

建設業許可を取得すると、許可業者としてしなければならない義務が発生します。

その一つとして、主任技術者の配置や、監理技術者の配置、施工する工事によっては専任で配置しなければなりません。

平成20年4月から使用されている工事経歴書では、記載したすべての工事についての主任技術者または監理技術者の氏名を記載しなくてはなりません

工事経歴書は、毎年度提出しなければならない決算変更届の一部です。こうすることで、配置義務や専任義務を違反していないかの確認が行われています。

主任技術者

主任技術者とは、工事現場における建設工事を適正に行うために、施工する工事の「施工計画の作成」「工程管理」「品質管理」などを行い、工事の施工に携わる者の技術上の指導監督を職務とする者です

必要となる資格は、一般建設業の専任技術者と同じです。しかし、専任技術者は出向でも認められますが、主任技術者は直接的かつ恒常的な雇用関係であることが必要ですので他社在籍の出向社員は認められません

建設業許可を取得している業者は、原則として請負工事の金額の大小にかかわらず、主任技術者を配置しなければなりません

この義務は元請・下請を問いません。

例外として、特定建設業者が、建設工事を下請に出す場合で、工事1件当たりの下請金額の合計¥4,000万(税込み)(建築一式工事の場合は¥6,000(税込み))以上になる場合は、主任技術者ではなく監理技術者を置かなければいけません。

監理技術者

監理技術者とは、基本的には主任技術者と同様に、工事現場における建設工事を適正に行うため、施工する工事の「施工計画の作成」「工程管理」「品質管理」「施工に携わる者の技術上の指導監督」を職務とする者ですが、大規模な建設工事を施工するにあたり、下請の専門工事業者を適切に指導・監督するという総合的な役割を果たすもので、主任技術者のように、直接的・具体的な工事に関連して詳細な指示をするものとは性格が異なります。

監理技術者の資格は、特定建設業の専任技術者と同じです。ここでも主任技術者と同様に、直接的かつ恒常的な雇用関係にある事が必要で、出向では認められません

発注者から直接に工事を請負い、その工事を下請に出す場合に、下請に出した工事の金額の合計¥4,000万(税込み)(建築一式工事の場合は¥6,000万(税込み))以上となる場合は、監理技術者を配置しなければなりません。

つまり、一般建設業者は、監理技術者を配置することはありません。監理技術者を配置しなければならない工事を施工するのは、特定建設業許可を取得していなければならないからです。

監理技術者資格者証と監理技術者講習修了証

監理技術者は、特定建設業の専任技術者となる資格を有していれば、建設業技術者センターに監理技術者資格者証の交付申請をして、審査が通れば資格者証が交付され監理技術者となる事が出来ます。

しかし、建設工事に監理技術者として携わる場合は、監理技術者講習修了証を発行された者でなければなりません。

また、監理技術者講習修了証は、工期のどの期間から見ても前5年以内に受講済みを証したものでなければなりません。監理技術者資格者証の有効期限も5年となっています

提示義務

発注者から監理技術者資格者証の提示を求められたときは、資格者証を提示しなければなりません。監理技術者として建設工事に従事しているときは、常時この資格者証を携帯している必要があります。

また、法律の条文上に明記されていませんが、監理技術者講習修了証も提示を求められとき、提示できるように常時携帯しておく事が望ましいとされています。

専任が求められる工事

公共性のある施設もしくは工作物、または多数の者が利用する施設もしくは工作物の工事で、工事1件の請負金額が¥3,500万(税込み)(建築一式工事の場合は¥7,000万(税込み))以上の工事

(例えば、国や地方公共団体が発注する工事や、鉄道・道路・河川・空港・学校・博物館・工場・百貨店・ホテル・マンション・ハイツなどで請負金額が¥3,500万(税込み)(建築一式工事の場合は¥7,000万(税込み))以上の工事)

 

上記の工事に関しては、主任技術者・監理技術者の区別は無く専任で配置する事が求められます

専任技術者と主任技術者・監理技術者

問題となるのが、専任技術者との関係です。専任技術者とは営業所を専任しています。主任技術者・監理技術者は工事の現場で職務を果たします。専任というこは他との兼任ができないということです

しかし、個人で建設業を営んでおられる方は多く、実際は兼任せざるを得ない場合が多いと思います。

原則では、専任技術者と現場の技術者は兼任できない事になっています。そこで国土交通省は下記の条件に該当する場合のみ営業所の専任制を緩和して、専任技術者でも主任技術者・監理技術者となることができるとしています。

  1. 該当する営業所において請負契約が締結された工事であること
  2. 工事現場と営業所が近接しており常時連絡がとれる体制が整えられている事
  3. 該当工事が「公共性のある施設もしくは工作物、または多数の者が利用する施設もしくは工作物の工事で、工事1件の請負金額が3,500万円(税込み)(建築一式工事の場合は7,000万円(税込み))以上の工事でないこと

行政庁によっては、扱いが異なる場合があるようなので、注意が必要です。

 専任技術者主任技術者監理技術者
資格要件

 一般建設業許可

1・2級国家資格者

実務経験者

特定建設業許可

原則的には1級国家資格者

大臣認定者

指導監督的実務経験者(指定建設業者は不可)

詳しくはこちら

一般建設業許可の専任技術者と同じ

 特定建設業許可の専任技術者と同じ

(配置する場合は、監理技術者講習を修了しなければならない)

職務の内容

 営業所で次の職務を行う

  1. 技術上の工事の履行確保
  2. 請負契約の適正な締結

施工現場で次の職務で行う

  1. 施工計画の策定と実行
  2. 工程管理
  3. 品質監理
  4. 安全監理

施工現場で次の職務を行う

  1. 施工計画の策定と事項
  2. 工程管理
  3. 品質監理
  4. 安全監理
  5. 下請負人の指導監督
雇用関係 申請者の営業所での常勤性が確認できれば他社在籍の出向社員でも可

 直接的で恒常的な雇用関係の者

原則として、他社在籍の出向社員は認められない