建設業の業種の種類は、一式工事2種類と専門工事26種類の計28種類あります。
そして、建設業許可にも種類があります。
ここでは、建設業許可の種類について説明します。
知事許可と大臣許可
知事許可
知事許可とは、一つの都道府県内にのみ営業所を設ける場合の許可です。
一つの都道府県内なら、営業所を2カ所以上設置する場合でも知事許可になります。
新規での取得、許可換えの場合で、許可手数料は¥90,000となっています。
許可更新や業種の追加での許可手数料は、¥50,000となっています。
大臣許可
大臣許可とは、2つ以上の都道府県に営業所を設置する場合の許可です。
本店を大阪にして、支店を奈良県に置くような形態をとるときは、大臣許可が必要となります。
大臣許可で新規許可取得や許可換え、のときは、手数料ではなく登録免許税が必要となり、¥150,000となっています。
許可更新や業種の追加は許可手数料として¥50,000となっています。
ポイント1
ここでいう「営業所」とは、本店・支店・常時建設工事の請負契約を締結する事務所のことです。
そして、少なくても以下の要件をそなえているものです。
- 請負契約の見積もり、入札、契約締結など実態的な業務を行っていること。
- 電話、机、各種事務所台帳などを備え、居住部分などとは明確に区分された事務室が設けられていること。
- 1.に関する権限を付与された者が常勤していること
- 専任技術者が常勤していること
以上を備えたものが営業所になりますので、単なる登記上の本店や、事務連絡所、工事事務所、作業所は営業所には該当しません。
知事許可・大臣許可の区分は、営業所の所在地のみでされる区分です。営業や工事について制限している訳ではありません。
つまり、奈良県の知事許可を取得して、大阪で営業や建設工事を行うことはできます。
ポイント2
複数の業種で許可を取得したときに、その業種ごとに知事許可と大臣許可に別ける事はできません。
つまり、大工工事は知事許可で建築工事は大臣許可ということはできず、両方ともの工事を大臣許可か知事許可のどちらかで統一して取得することになります。
一般建設業許可と特定建設業許可
一般建設業許可
一般建設業許可とは、建設工事を下請に出さない場合や、下請工事の合計金額が一定額未満の工事しか出さない場合の許可です。
一定額とは
- 建築一式工事の場合は、7,000万円(税込み)
- 建築一式工事以外は、4,500万円(税込み)
です。
この制限は、元請として注文を受け下請工事に出す場合であって、下請業者は金額の制限を受けません。つまり、下請工事のみしか行わないのであれば一般建設業許可で十分です。
特定建設業許可
特定建設業許可とは、金額の制限を受けずに、建設工事を下請に出すことの出来る許可です。
つまり、建築一式工事の場合は、7,000万円以上(税込み)の工事を下請に出す場合、建築一式工事以外の場合は、4,500万円以上(税込み)の工事を下請に出す場合に、取得しておかないといけない許可です。
金額の大きい工事を下請に出すための許可なので、許可に求められる財的な要件や、技術者に関する要件も厳しくなっています。
あくまで、一定額以上の工事を下請に出す場合に必要な許可ですので、発注者から直接に請負う場合は一般建設業許可であっても金額の制限無く受注することはできます。
ポイント1
特定建設業許可が必要なのは、発注者(施主にあたる者)から直接工事を請負う元請け業者さんのみです。
第一次下請業者さんから第二次下請業者さんに建設工事を出す場合は、特定建設業許可がなくても制限を受けずにすることができます。
ポイント2
例えば、大工工事の許可と建設一式工事の許可の2つを持っている建設業者さんがいたとします。
このときに、大工工事は一般建設業許可を取得して、建築一式工事は特定建設業許可を取得する ということはできます。
しかし、大工工事の許可を一般建設業許可と特定建設業許可の両方ともを取得することはできません。
つまり、1つの業種に関してはどちらか一方しか取得できないということです。
許可換え新規
パターン1
「奈良だけに営業所をおいてたけど、大阪にも営業所をおいて仕事がしたい」
この場合は知事許可から、大臣許可に換えなければいけません。
パターン2
「奈良と大阪に営業所をおいていたけど、奈良だけでいいかな」
この場合は、大臣許可から奈良県の知事許可を換えなければいけません。
パターン3
「奈良から大阪に営業所を移したい」
この場合は奈良県の知事許可から、大阪府の知事許可に換えなければいけません。
以上が許可換え新規となります。
般・特新規
一つの業種に関してどちらか一方しか取得できませんので、今取得している建築工事の一般建設業許可から特定建設業に換えたい場合は、建築工事の一般建設業を廃業し般・特新規として申請します。
特定建設業許可から一般建設業許可に換えたいときも同じです。
ただし、建設業法第29条に該当することとなり、受けている特定建設業許可の全部を一般建設業許可とするときは、特定建設業の廃業届を提出して、「新規」で一般建設業許可の申請をすることとなります。
また、特定建設業許可のみを受けている建設業者が建設業法第29条に該当することになり、受けている特定建設業許可の一部を一般建設業許可とするときは、係る特定建設業の廃業届を提出して、「般・特新規」で申請することとなります。
建設業法第29条に該当するとは
- ƒƒ経営業務の管理責任者の要件を満たす者を欠いたとき
- 専任技術者の要件を満たすもの者を欠いたとき
- 欠格要件に至ったとき
二つ目のパターンですが、大工工事の一般建設業許可を取得していて、新たに建築工事の特定建設業許可を取得する場合も般・特新規として申請します。
許可の区分が異なるので、扱いは新規申請となりますが、一部の書類が省略できたり許可番号を引き継げたりできます。
更新
建設業許可は5年で更新する必要があります。
更新手続は、許可の有効期間の30日前までにしなければなりません。
許可手数料は¥50,000となっています。
業種追加
大工工事の一般建設業許可を取得している業者さんが、建築工事業の一般建設業許可を取得するときは、業種追加の許可申請をします。
このとき、建築工事業を特定建設業許可で取得するときは、般・特新規として扱われます。
一般建設業許可を取得している業者さんが別業種で一般建設業許可を更に取得するとき、または特定建設業許可を取得している業者さんが別業種で特定建設業許可を更に取得するときは、業種追加となります。
許可手数料は¥50,000となります。