専任技術者の要件
建設業許可を取得するには、営業所専任の技術者を設置しなければなりません。
専任技術者になるためには以下のいずれかに該当しなくてはいけません。
一般建設業許可 | 特定建設業許可 |
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まとめると
一般建設業の場合
指定学科卒業+一定年数以上の実務経験
一定の国家資格か国土交通大臣の認定を受けた者
国家資格+一定年数の実務経験
10年以上の実務経験
特定建設業の場合
一定の国家資格か国土交通大臣の認定を受けた者
一般建設業の専任技術者になれる資格+元請として一定額以上の工事の指導監督的実務経験
となります。また指定建設業の7業種の特定建設業の専任技術者は一定の国家資格を取得した者か、国土交通大臣の認定を受けた者しかなることはできません。
この7業種というのは以下の7つです。
- 土木工事業
- 建築工事業
- 電気工事業
- 管工事業
- 鋼構造物工事業
- 塗装工事業
- 造園工事業
また、2種類の業種の専任技術者となる場合に、実務経験のみで要件を満たそうと20年を必要とします。なぜかというと同一期間に複数の業種の経験がある場合、その期間を複数の業種に重複して経験期間とすることがず、その期間を経験年数に算入出来るのは1業種と限られているからです。
一定の業種に限って要件を緩和していますが、業種は限られていますし、必要となる年数も長いです。
専任技術者となるための国家資格
下記のリンクは専任技術者の資格区分の一覧表となります。
実務経験を必要とするものは以下のものです。
- 第二種 電気工事士では免状交付後3年以上
- 電気工事主任者(第1種~第3種)では免状交付後5年以上
- 電気通信主任技術者では資格証交付後5年以上
- 給水装置工事主任技術者では免状交付後1年以上
- 地すべり防止工事 合格後実務経験1年以上
- 建築設備士 資格取得後実務経験1年以上
- 計装 合格後実務経験1年以上
- 職業開発促進法基づく技能検定では等級区分が2級の場合は合格後3年以上
特定建設業の専任技術者も資格のみで
上記リンクの一覧票の◎がついているものはその特定建設業の専任技術者になれるものです。
これを取得するだけで、元請として4,500万円以上の工事について2年以上の指導監督的実務経験も考慮せず専任技術者となれます。
一つの資格で複数の業種の専任技術者へ
実務経験のみで、建設業許可を取得する事は可能ですが、上記でも書いた通り複数の業種の許可を取得する場合は非常に長い期間を必要とします。
事業拡大のために業種追加する際も、その業種の専任技術者が必要です。実務経験のみでは、現実的に難しいでしょう。
しかし資格を取得する事で専任技術者の要件を満たす事が出来ます。実務経験を必要とする場合でも、実務経験のみで要件を満たすより大幅に期間を短くすることができます。
また、一つの資格で複数の業種の専任技術者となることも可能ですので、事業拡大には非常に有効です。
許可を維持するために
専任技術者が一日でも営業所に不在となってしまうと許可取消の原因になってしまいます。
専任技術者が一人しかいない場合、その人が何らかの理由でいなくなっていまうと許可の維持が出来なくなってしまいます。
その対策として人材育成は非常に重要ですが、実務経験のみの10年というのはやはり長いです。
資格取得を視野に入れておくことで、取得の難しい国家資格を取るのではなく必要に応じた資格と実務経験の年数を考慮して準備を進める事ができます。
これらのことは、事業を承継する際にも役立ちます。
主任技術者・監理技術者にも
建設業許可をした業者は、主任技術者・監理技術者を配置しなければなりません。工事によっては専任で配置する必要があります。
詳しくは→主任技術者・監理技術者とは
専任技術者と主任技術者・監理技術者は一部例外を除き兼任する事が出来ません。
専任で配置しなければならない工事に至っては例外もありません。
また、附帯工事を外注せず自ら施工する際も主任技術者を配置しなければなりません。
専任技術者となれる者と主任技術者・監理技術者となれる者の要件は同じですので、国家資格を取得すること、またそういった人材を育成することはコンプライアンスの観点から見ても非常に有用性が高いと言えます。