建設業法令遵守ガイドラインの改訂(H26.10.30)
平成26年10月30日に建設業法令遵守ガイドラインの改正が国土交通省から発表されています。
主な内容は、元請人と下請人との関係に係るもで、労働災害防止対策の実施者とその費用の負担者を明確化するというものです。
背景として、建設工事現場において労働災害が急増していること厚生労働省から国土交通省に対して「建設業における労働災害防止対策について」により各団体等に対する指導等の協力等が要請されていること、東日本大震災の復旧工事の本格化など建設工事の件数の増加に伴い、労働災害の発生が多くなることが懸念されていることにあります。
また、労働災害防止の対策について元請人と下請人の間で、それぞれの役割の対する意識の向上と労働災害防止に対する意識の共有のため更なる取組みが必要とされています。
建設業法令遵守ガイドライン改定の概要
見積条件の提示
元請人は見積条件の提示の際、労働災害防止対策の実施者及びその経費の負担者の区分を明確化すること
赤伝処理
あらかじめ見積条件や契約書面に、下請人の負担であることを明示していないにも関わらず、元請人が下請人と合意することなく、一方的に提供・貸与した安全衛生保護具等の費用を下請代金の支払時に差引く行為は「赤伝処理」に該当し、建設業法第19条、第20条第3項に違反すること
労働災害防止対策
以下の事項が明確化されています。
労働衛生安全法は、建設工事現場において、元請人及び下請人にそれぞれに対して、それぞれの立場に応じて、労働災害防止対策を講じることを義務付けており、したがって、元請人および下請人が労働災害防止対策を講ずることに要する経費は、義務的に負担しなければならない費用であり、「通常必要と認められる原価」に含まれるものであること
「見積条件の提示」「元方事業者による建設現場安全管理指針」3及び14を踏まえ、元請人は見積条件の提示の際、労働災害防止対策の実施者およびそれに要する経費の負担者の区分を明確化すること
下請人は、元請人により明確化された労働災害防止対策の実施者およびその経費の負担者の区分をもとに、自ら負担しなければならない労働災害防止対策に要する経費を適正に見積り元請人に提出する見積書に明示すべきこと
元請人は下請人から提出された労働災害防止対策に要する経費が明示された見積書を尊重しつつ、建設業法第18条を踏まえ、対等な立場で下請人との契約交渉を行わなけれなばらないこと
元請人と下請人は、契約書面の施工条件等に労働災害防止対策の実施者およびその経費の負担者の区分を記載し明確にしなければならないこと
下請人が負担しなければならない労働災害防止対策に要する経費のうち、施工上必要な経費と切離し難いものを除き、労働災害防止対策を講ずるためにのみ必要な経費については、契約書面の内訳明細などに明示する必要があること
下請人の見積書に適正な労働災害防止対策に必要な経費が明示されているにも関わらず、当該経費を元請人がこれを尊重せず一方的に削除したり、当該経費相当額を含めない金額で請負契約を締結し、「通常認められる原価」に満たない金額となる場合は、建設業法19条の3のの不当に低い請負代金の禁止に違反するおそれのあること